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* 福岡県警へ監視カメラの稼働停止を求める(2012.2.9)
2012年2月9日14:00に、福岡県警4階の生活安全総務課に、福岡県弁護士会の会長声明を持参しました。
担当者の方々と30分ほど懇談をいたしました。
監視カメラを法律なしに設置・運用しないよう求める声明
警察庁は、福岡市の中洲地区に犯罪防止効果の検証を目的に42台の監視カメラを設置し、本年1月から福岡県警が常時録画する運用を開始した。
しかしながら、警察の捜査活動でさえ、具体的な嫌疑を前提として許されるものであり、その場合にも、人権保障を図る観点から、基本的人権を制約する場合には法令の根拠を必要とし(強制処分法定主義)、令状がなければ原則として行えないというのが憲法以下の法令の考え方である。
現在では、監視カメラで撮影された膨大な集積画像の中から、顔認識システム(被写体から人の顔の部分を抽出し、目・耳・鼻などの位置関係等を瞬時に数値化し、あらかじめデータベースに登録された特定人物の顔データベースとを自動的に照合するもの)を使って、特定人物の検索・照合することも可能となっている。具体的な法益侵害の行われていないはるか前段階で、警察が市民全体を対象とする監視を行い、地引き網のように市民の行動履歴を収集することは、個人のプライバシー権を侵害するばかりか、民主主義社会における市民の自由を萎縮させる危険が大きい。
警察自身による監視カメラの設置は、京都府学連事件判決(最判昭44.12.24)、山谷監視カメラ判決(東京高判昭63.4.1)などによれば、?犯罪の現在性または犯罪発生の相当高度の蓋然性、?証拠保全の必要性・緊急性、?手段の相当性がある場合を除いて、警察が自ら公道に監視カメラを設置することは認められない。
西成監視カメラ判決(大阪地判平6.4.27)では、「特段の事情がない限り、犯罪予防目的での録画は許されないというべきである。」として、犯罪予防目的での監視カメラの設置を明示的に禁止している。
中洲地区は必ずしも犯罪多発地帯ということが証明されているわけではく、県警は、想定される犯罪として客引きを挙げつつも、当会の聴き取りに対し、「その実態はよく分からない」と回答するなど、監視カメラ設置の必要性に乏しく、他方で、歓楽街におけるプライバシー権制約の程度は大きいのことからすれば、犯罪予防目的での撮影や録画が許容されるべき特段の事情はない。
そもそも、プライバシー権を保障するために監視カメラの設置・運用を規制する法律の制定が必要不可欠である。
当会は2007年以降、同様の意見を述べているが、なんら法律が制定されないまま警察主導で街頭監視カメラが増設されていることに対し強く遺憾の意を表するとともに、適切な法律が制定されるまでの間は、中洲地区における監視カメラの設置・運用を中止するよう強く求める。
2012年(平成24年)2月 9日
福岡県弁護士会会長 吉 村 敏 幸
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