* 札幌地裁、和解所見を出す意向(2011.4.15)

 2011年4月15日14:00から、札幌地方裁判所でB型肝炎訴訟の口頭弁論が開かれました。
 原告の木越さんは、建築の現場管理をしていた平成14年に発病し、その後突然ビル管理業務に配置転換された上、リストラされました。
 B型肝炎を隠して再就職したものの、平成21年には肝炎が悪化し、入院せざるを得なくなったため、会社に説明したところ解雇され、入院でのインターフェロン治療を受けました。
 国が自分の加害責任を放置し続けていることから、何よりもまず真摯な謝罪が必要だ、そうでなければ、社会での差別・偏見はなくならない、と訴えました。
 原告の佐々木さんは、昭和55年に慢性肝炎を発症し、平成9年に肝硬変を告げられました。平成18年には食道静脈瘤ができ、平成20年には肝ガンを発症しました。
 ラジオ波焼灼術を受けましたが、翌年肝ガンが再発し、1年間、肝動注化学療法を受けました。
 いったんガンが消滅し、奇跡が起きたと喜びましたが、6ヶ月後には再び肝ガンが再発し、今も肝動注化学療法を受けています。
30年にわたって闘病を続けてきた佐々木さんは、20年以上肝炎と闘っている被害者が区別されることはとてもやり切れない、どれほどつらく苦しいことか、身をもって嫌と言うほど味わってきた、全員救済のための、血の通った心ある決断を切に希望します、と訴えました。

 さらに、14:30から、和解協議が行われました。
 裁判長は、「早期解決が望ましい。最終的には裁判所で案を出さないと、お互いの協議だけでは和解成立は難しいと思われるので、来週19日16:00に第2次所見案を書面で示したい。発症後20年経過した肝炎被害者、2次感染者の解決も網羅したものをお示ししたい。
 さらに、5月13日14:00に和解期日を指定し、双方に、裁判所の所見に対する諾否をご回答頂きたい。裁判所としては最終の解決への道筋をお示ししたいので、受け入れをお願いしたい。」と述べ、発症後20年経過した肝炎被害者に対する解決案を含めた所見を出す考えを示しました。
 原告団・弁護団は、裁判所の所見が出されれば、それを検討することとしました。
以下、記者会見での発言及び質疑です。

谷口代表:裁判所から示される所見をもとに、基本合意に向かっていきたい。納得のできる所見を求めたい。
高橋朋巳北海道原告代表:国は、いつまでも自分の責任に向き合う姿勢を示さない。私たちの納得できる所見を出して欲しい。
高橋元一北海道原告副代表:今日の意見陳述はよかった。それで裁判長が態度を変えたのではないかと期待している。等しく救済される文言がはいることを期待している。裁判長に正しく判断して頂きたい。
清本北海道原告副代表:複雑な思いだが、裁判長には、できるだけ20年間苦しんだ方を認める所見を出して欲しい。私もバラクルードを1日1錠飲んでいるが、20年間苦しんだ人は、そういった苦しい治療を受けた人たちなので、それを汲んだ所見を出して欲しい。細川大臣は昨年は年内解決といっていた。今どういう気持ちなのか問いたい気持ちだ。該当者はそんなに多くないので、解決するのは困難ではないと思う。政治家は、解決の必要があると思えば除斥期間にこだわる必要はないのだから、細川大臣は、除斥期間に固執するなら、政治家ではなく弁護士のままでいればよいと思う。
北海道原告木越さん:私の訴えが4月19日の裁判所の所見に少しでもいい影響が与えられればと思う。
北海道原告佐々木さん:この病気と闘うことがどんなにつらく苦しいか、伝えたかった。この国の法律は、長く苦しんだ人を救わないのか。重篤になってからしか治療代がもらえないのか。重篤になったら死ぬしかない。私たちは日本人です。助けて欲しい。治療の機会を与えて欲しい。私たちはそれを望んでいるんです。国を少しでもいい方向に導いて頂きたいという気持ちで意見陳述を行いました。
東京原告代表岡田さん:裁判長が所見を出すと表明した理由として、早期解決があった。私たちも早期解決を望んでいるが、それが目的になってしまうのではなく、私たち患者が安心して治療ができる基本合意につながっていけるような所見を出して頂きたいと願っている。今日は久しぶりに口頭弁論があり、原告の意見陳述を聞いた。私たちの原点に立ち返るような内容だった。この時点で裁判長の耳に入ったことは、とても重要な日だったと思います。裁判長には、加害者である国に対して、強い態度で所見を示して欲しいと思っています。19日まで日にちは短いけれども、私たちの意見陳述をよく考えて頂いて、私たちの望む内容になって欲しい。
九州原告窪山さん:今日久しぶりに意見陳述を聞かせて頂いて、自分の行った意見陳述を思い出しました。私たちの苦しみは、全員つながっているんだなと思いました。この苦しみを国に是非分かって欲しい、一律救済で、この国に生まれてよかったという気持ちで所見を聞きたい。裁判長は我々の苦しみを理解して所見を出して欲しい。

Q:一律救済を訴えてきて、みなさんの思いもさまざまだと思うが、裁判所の所見が出ることについてどう感じていますか。
谷口代表: 長く苦しんだ人を救済して欲しいという思いは変わらないので、裁判長には納得のいく所見を出して欲しいと祈るような思いです。思いは全く変わりません。
Q:19日は期日外の折衝か?
奥泉B:折衝はない。書類を取りに行くだけ。
Q:裁判長の所見を出しますという発言はどういうものだったか。
奥泉B:早期解決のために、裁判所が所見を出すことが必要と考えたと言うこと。
Q:19日に所見が出された後の諾否の意思決定をどういう手続きをされるのか。
奥泉B:16:00に所見を受け取り、どういう内容かは提示できると思う。その後については、今後弁護団で検討して、各地で説明して、原告団の役員会を開催して諾否を決めることになると思う。日程の最終確定はしていない。5月の連休中くらいに役員会を開くスケジュールだと思う。
Q:裁判長が言及した今後のスケジュール感は?
奥泉B:5/13で諾否を聞く。私たちは、国の謝罪や恒久対策、真相究明機関の設置など、和解の前提として解決しなければならない問題がある。5/13の次の期日で基本合意をする日にしたいという流れだった。基本合意後、個別の原告が資料を提出して認定手続きを経て和解に進む。
Q:裁判長の発言の様子はどうか?
奥泉B:前回の和解協議で、国が震災の問題があって日程的にも予算的にも詰まっているという話がなされ、裁判所にも影響しているのではないか。1日も早く出すことが望まれるという判断だと思う。

基本合意1周年チラシ
全国のB型肝炎電話相談窓口
相談票(記入後、そのままFAXして下さい)
記者会見の様子
社民党ヒアリング
公明党ヒアリング
自民党田村議員のあいさつ
民主党三宅議員のあいさつ
共産党田村議員のあいさつ
みんなの党小野議員のあいさつ
旗だしの様子
会見の様子
記者会見の様子
谷口全国原告団代表のあいさつ
高橋北海道原告代表のあいさつ
基本合意書の調印
細川厚生労働大臣の謝罪
調印式全景
菅首相の謝罪
谷口原告代表のあいさつ
菅首相と谷口代表の握手
増税論について
原告団・弁護団声明
門前集会
記者会見
記者会見
谷口原告団代表のあいさつ