* 原告団、和解2次所見を受け入れ(2011.5.2)

 2011年5月2日13:30から、東京弁護士会館で、B型肝炎訴訟全国原告団拡大代表者会議が開かれました。
 今年4月19日に札幌地方裁判所が示した第2次和解所見のうち、主に、肝炎を発症して20年以上経過した被害者に対する和解額を巡って議論がなされました。
16:30から、記者会見が行われました。
 東京訴訟原告の石川さんが、原告団声明を読み上げました。
 続いて、全国原告団代表の谷口三枝子さんが挨拶をしました。
「私たちは、力の限り闘ってきました。いつかは、菅首相に思いが届いて、政治決着が図られると信じてきました。しかし、除斥という法律の壁を打ち破ることはできませんでした。
 肝硬変や肝ガンで重篤な被害者がたくさんいます。これ以上解決を引き延ばすことはできません。早期解決のために受け入れざるをえません。
 これから基本合意へ向けた戦いになります。まずなによりも菅首相に謝罪をしてほしいと思います。
 その後も、恒久対策や真相究明、差別・偏見をなくすための戦いが必要です。
 『私はB型肝炎患者です。』と胸を張って言える社会にしていかなければなりません。
 まだまだ、これからも私たちの戦いは続きます。」
 さらに、各地の代表者から挨拶がなされました。
北海道原告団清本副代表:和解所見を蹴れなかったというのが正しい。この解決の仕方は間違っていると思いながら合意せざるを得ない。発症後除斥の考え方は、一つの考え方にすぎないと思う。菅政権がこの考え方にこだわるのは不合理だと思う。こういう考え方をもとに原告を切り捨てるのは、人としても、政権としても信用できない。「不条理をただす政治」が、長く苦しんだ人を切り捨てる形でいいのか、もう一度考えてほしい。
新潟原告団金子代表:新潟の原告の半分はキャリアです。キャリアの時も、肝炎被害者も、除斥がいかに厳しいのか、思い知らされた。
東京原告団岡田代表:東京の原告団の会議では、私は反対意見を述べた。震災の影響もあって、所見を飲まざるを得ないというのは分かっていましたが、蹴ることができないかと思いました。除斥対象者に対する差別を受け入れることは、除斥を見直すという動きが出ている中で、悪しき前例になるのではないかと思いました。
大阪原告団小池共同代表:苦渋の選択を2度もしなければならないことになりました。除斥を乗り越える方法がないものか、何とか政治解決をしてほしいと努力しましたが、菅総理には届きませんでした。肝硬変・肝ガンの被害者も、何とか生きているうちに解決してほしい。国の救済が遅すぎたために除斥になったり、母を亡くした人もいる。予防接種で注射器の回し打ちをしたことを法律に明記して、謝罪をして解決してほしい。
広島原告団山本代表:和解勧告から、遅々として和解が進みませんでした。ようやくトンネルの出口付近に来たと言うところです。安心しているわけにはいきません。まだ和解が成立したわけではありません。
九州原告団榊原副代表:九州の原告団総会で、末期の肝硬変で、肝移植の順番待ちをしている、肝性脳症を起こしている方が、早く解決してほしいと訴えられました。発症後20年経過した肝炎被害者の方は、「納得はできないけれども、今のような方がいらっしゃるのであれば、やむを得ません。」とおっしゃいました。この人に無理な妥協をさせているのではないかと思っていましたが、先日私が入院した際一緒になった、肝ガンで4回目の手術を受けている方が、和解の進捗状況を何度も尋ねてきました。皆さん、早期解決を望んでいます。
北陸原告団匿名原告:除斥期間は、私自身も納得がいかない。しかし、早期解決を望むということがあって、受け入れると言うことを決めました。謝罪・恒久対策についても、さらに運動を盛り上げてやっていきたい。
広島原告団匿名原告:私は、発症後20年経過している原告です。この和解所見は、とても受け入れられない内容です。どうして私たちが線引きをされてしまうのか、どうしても納得ができません。認めることがとてもつらいです。しかし、私たちは一緒になってここまでやってきました。私たちを引っ張ってくれた重篤な先輩達のことを考えると、私たちもどこかで決断しなければならないのだと思って今日来ました。
 以下の質疑応答がありました。
Q:具体的にどんな反対意見があったのか?
奥泉B:岡田さんのご意見や、同じようなご意見がありました。みんな受け入れがたいという思いはある。
Q:各地の反対意見をどのように国に伝えていくのか?B型肝炎の除斥の問題についてどのような取り組みを考えているのか?
佐藤B:恒久対策を含めてさまざまな施策が実施されて、はじめて訴訟の目的が達成されると考えている。発症後除斥の問題については、裁判上はこの所見を受け入れる決断をした。未提訴の方については立法がなされるので、そこで国会議員の方々には区別のない解決を訴えていきたい。
Q:発症後20年経過した被害者は何人いるのか?
奥泉B:弁護団でも正確につかんでいない。原データを含む医療データを検討しないと確定できない。概数で10名から20名程度、最大でも30名と見込んでいる。
Q:基本合意までのスケジュールにメドがあるか?個別和解は、いつ頃始まっていつ頃までかかるのか?
奥泉B:5月中か、6月にはいるか、というところで裁判所での期日がはいる予定になっている。基本合意は、できるだけ早くと考えている。個別和解は、その後資料を提出してできるだけ速やかに進めていきたい。
Q:今日の結論は、いつ裁判所に伝えるのか?
奥泉B:これから話し合う。
Q:広島の匿名原告のかたへ。今回受け入れるにあたって、ほかの方はどんなことをおっしゃっていたのか。谷口代表へ。和解成立を勝ち取ったという達成感と、除斥の壁を打ち崩せなかった無力感と、どちらの方が大きいのか。弁護団へ。救済法の立法があるのかどうかの見通しについて。
広島原告:パンフレットを作って国会議員の先生方にご説明をして回った。どれだけこの問題が難しいのか、よく分かった。しかし、なぜこの制度が正しいのか、説明をしてほしい。この壁はとても高くて、厚くて、悔しさだけが残っている。
谷口代表:除斥の壁を崩せなかった悔しさはあるけれども、これから原告仲間と戦い続けなければならない。謝罪は、私たちがこれから胸を張って生きていくために、差別・偏見で苦しまなくてよいように勝ち取っていきたい。恒久対策も勝ち取っていきたい。新たな戦いへと原告団と向かっていかなければ、という思いです。
奥泉B:和解所見をみると、裁判所の手続きを通じて解決するので、必ずしも立法がなくても和解できることになっている。後は、国の方がどう考えるのかという問題だと思う。
Q:政治決断がなかったことについて、HIV訴訟や、薬害肝炎訴訟とどこに違いがあったと思いますか?
谷口代表:菅首相は、HIV訴訟の時は解決したと言っていたけれども、この問題については、頑として聞き入れてくれなかった。被害者の数が多いせいかな、と思う。
佐藤B:後で総括する必要がある。政権の性質、首相の個別の資質、製薬メーカーの関与の有無、被害の数の大きさ、などが影響している。いろいろな要素が絡んでいると思う。
基本合意1周年チラシ
全国のB型肝炎電話相談窓口
相談票(記入後、そのままFAXして下さい)
記者会見の様子
社民党ヒアリング
公明党ヒアリング
自民党田村議員のあいさつ
民主党三宅議員のあいさつ
共産党田村議員のあいさつ
みんなの党小野議員のあいさつ
旗だしの様子
会見の様子
記者会見の様子
谷口全国原告団代表のあいさつ
高橋北海道原告代表のあいさつ
基本合意書の調印
細川厚生労働大臣の謝罪
調印式全景
菅首相の謝罪
谷口原告代表のあいさつ
菅首相と谷口代表の握手
増税論について
原告団・弁護団声明
門前集会
記者会見
記者会見
谷口原告団代表のあいさつ