* 基本合意書調印、首相の謝罪(2011.6.28)

 2011年6月28日14:30から、厚生労働省5階共用第7会議室で、全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団と厚生労働大臣との基本合意書の調印式が行われました。
 基本合意書が読み上げられ、細川厚生労働大臣、谷口三枝子全国原告団代表、佐藤哲之全国弁護団代表の3者が基本合意書に署名・押印しました。
 その後、細川厚生労働大臣は、予防接種における注射器の連続使用によるB型肝炎感染を起こし、その拡大を防止しなかったことについて謝罪するとともに、基本合意書に基づく迅速な和解を行うこと、恒久対策のための協議の場を設けることなどを約束しました。
 全国から集まった原告・弁護団のうち約80名が参加しました。

 また、16:00から、首相官邸で、全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団による首相面談が行われました(原告・弁護団約130名参加)。
 冒頭で、菅首相は、「感染の拡大を防ぐことができず、行政の努力が十分ではなかったことは断腸の思いであり、多くの被害者に心からおわび申し上げます」と謝罪しました。 さらに、山本重康広島原告団代表のあいさつに答え、菅首相は、「B型肝炎の発症を抑える研究や医療態勢の整備を進め、国としての責任を果たしていく」と述べ、新薬研究について具体的な約束を行いました。

 17:30からの記者会見で、以下のような発言と質疑がありました。
 谷口原告団代表: 札幌の5人による最高裁判決を信じて、私たちは闘ってきました。そして、今日の日を迎えることができました。明日から、B型肝炎患者の歴史が変わっていく、薄暗いところでじっと耐えてきたB型肝炎患者の歴史が変わっていくと思います。私は、40歳の時に肝炎を発症し、あまりのきつさに自殺を考えました。しかし、子どものことを思い、考え直しました。子ども2人が肝炎に感染しました。苦しかったけれども、今日は、生きていてよかったなあと思いました。しかし、16名の原告が亡くなっています。全国には、自分が被害者であることも知らないで亡くなった方がたくさんおられると思います。今日の解決は、あまりにも遅かったと思います。
 細川大臣、菅首相が基本合意を迅速に実施していくとおっしゃいました。私たち原告を含めた被害者が1日も早く救済されていくと思います。国の医療行政で、私たちのような悲惨な被害者が二度と生まれないよう、再発防止を考えてくれると思います。もっと国民にB型肝炎検査をよびかけて、救える命を救ってくれると思います。B型肝炎患者が、私はB型肝炎患者です、と人前で堂々と言える社会にしてほしいと思います。そのためには、増税は、B型肝炎患者のせいだ、と言う目で見られないような配慮を願います。偏見にさらされたくないという思いで裁判に立ち上がりました。増税という重荷をもたさないようお願い致します。恒久対策など、私たちの戦いはまだまだ終わりではありません。
 久永大阪原告共同代表: 今日やっとこの日を迎えることができました。基本合意書の調印ができ、菅首相の謝罪を受けることができました。細川厚生労働大臣は、昨年末に、策年内に解決できなかったことを謝罪されましたが、本当は政治決断があれば、昨年中に解決していたはずだと思います。そのために、助かるはずの人が亡くなっているかもしれません。今年に入って3名の原告が亡くなっています。根治する薬を作ってほしいと思います。治る薬なら、差別もなくなると思います。原告になれなかった患者さんのためにもなると思います。国は真剣に考えてほしい。しかし、財源論がだされている。そのことで傷つく人がたくさんいる。被害者として苦しんでいる人をますます苦しめるだけ。新たに提訴しようとする人に圧力をかけるようなもの。国は、きちんとした裏付けを示してほしい。報道だけ先走っているように思う。国がリークしているのであれば、悪意があることなので、報道の方もきちんと考えてほしい。今の段階で増税を持ち出すことは問題です。私も、今日を気に一歩でも前を向いて歩いていけるようにしてほしい。
 北陸原告団副代表: 今日を迎えられたのは喜ばしいが、遅かった。長く時間がかかりすぎた。12月末、年度末、それからようやく今日の日を迎えることができた。和解は迅速に進めてほしい。菅首相は、今日が解決のスタートラインと言われました。私たちが国の過ちをただし、菅首相がこころからお詫びを申し上げますと言われて、胸が熱くなった。
 金子新潟原告団代表: これからまだまだ和解手続きに時間がかかるのではないか。一人でも多く、自分で気がついていない方も提訴できるように、厚生労働省にもがんばって進めて頂きたい。18年間闘った北海道の方達の結果の上に私たちがあるので、感謝しています。私は佐渡島におりまして、国際保護鳥のトキがおります。大変な予算がかけられ、環境省から専門官が派遣されていて、大変な報道がされている。それに比べて私たちはなんだと思っていました。今日はたくさんマスコミの皆さんがおられてよかったと思いました。今日の日が迎えられて大変よかったと思います。総理の謝罪の中で、被害者に対する謝罪だけで、国民に対する謝罪がなかったのが残念だった。

Q 協議の場の位置づけは?
奥泉:基本合意書については、覚え書きと議事確認があり、基本合意書の文言だけをみると、肝炎対策協議会に持ち込まれるだけのように見えるけれども、そうではない。
 また、これは大臣協議である。

つづいて、18:20から、衆議院第1議員会館で、報告集会が開かれました。
 参加者から以下のあいさつが行われました。
岡田東京原告団代表: 菅首相から謝罪の言葉と力強い誓いの言葉をいただきましたので、迅速な対応がとられると信じております。裁判長からの所感というお言葉をいただき、奥泉弁護士が涙を流しておられて、当事者ではないけれども長年闘ってこられた弁護団のご苦労をとても感じまして、私は訴訟に加わって3年しかたっていませんけれども、長い戦いの上での基本合意というものの大きさを感じました。基本合意でこれから提訴する人に道が開かれましたが、進展がないと言うことのないよう、議員の皆様にも解決したという実感がもてるようご支援をお願いしたいと思います。
小池大阪原告団代表: 厚生労働省の外では何度も解決を訴えてきました。今日の日が来るとは思わなかった。細川厚生労働大臣と首相に謝罪して頂いて、私たちが悪くなかったと分かってもらったら、差別偏見がなくなるのではないかと期待している。私は母子感染させたので、私が亡くなっても被害は続いていく。
 裁判長からは、除斥期間について、不平等がなくなっていくよう立法解決を期待しているというお言葉があったので、国会議員の先生方に期待しています。
 山本広島原告団代表: 私の方から、「菅首相からトップダウンで、B型肝炎を治る病気にしてほしい」と訴えたことに対して、本気で受け止めて頂けたようで大変感謝しています。どうもありがとうございました。

みんなの党川田議員: 原告の皆さん、大変お疲れ様でした。おめでとうございます。基本合意と言っても、まだ和解の実感はもてないと思います。これからだと思います。最高裁判決が出て、もっと早く解決されるようにと思い、国会でも質問をしてきました。皆さんががんばってこられたことが今日の基本合意になっていると思います。これからも一緒にがんばりましょう。治療方法はこれからもできるかもしれない、がんばりましょう。
 みんなの党柿沢議員: 解決の最後のところで立ち会わせて頂いた。今、原発事故を担当していまして、今どう償いをしていくのかの取り組みをしている。20年、30年というスパンの問題を取り組んでいる。この解決は先例になると思う。
 共産党紙議員: 本当にご苦労さまでしたと言うことを言いたい。厚生労働省前の座り込みや、あちこちで訴えてこられたこと、体調も大変な中、よくぞこうしてがんばってこられたと思います。厚生労働省は、責任を果たさずに逃げようとしたことを許さなかったと言うことが大事だと思います。勇気を持って闘ってきたことが、多くの苦しんでいる方の励ましになっていると思います。国会議員は、すべての人を対象にしない、除斥の問題を変えせていくためにがんばらなければならないと思います。
民主党山井議員: 解決が遅くなってしまい申し訳ありません。
より早く救済されること、より早く恒久対策がとられることも、国の使命だと思います。数十万人と言われるB型肝炎患者の方のためにすばらしい戦いをされたと思います。本当にお疲れ様でした。
公明党赤松議員: 谷口代表の思い詰めたようなお話を何度も聞かせて頂いた。
厚生労働大臣は、見ているだけで、存在自体がお詫びのように感じられるが、菅首相はそうではないところ、今回の首相の談話はよくできていて、考え抜かれている。この通りにがんばってほしい。
 自民党田村議員: 寒い中厚生労働省で座り込まれたりしたことが成果になった。
 全員が救われるわけではない中で、どういう恒久対策をとるか、みなさんが作ったものは大きな一歩。
 共産党穀田議員: いくつもの困難を乗り越えてこられた。私たちは立法府として、決意をしなければならないときだと思います。本当におめでとうございます。
 社民党福島議員: 何度も院内集会を開き、座り込み、デモをしてこられたことが今日につながったと思います。検証機関でしっかり検証しなければならない。国家の故意過失による被害をなんとしても根絶したい。厚生省の過誤で涙を出す人が出ないようにしたい。私たちも立法でがんばっていきたい。
 公明党古屋議員: 今日の日を迎えることができてよかったと思います。
民主党柚木議員: 本当に長い間、お疲れ様でした。これからが大事だろうと思います。
財源の話です。皆さんは誰一人悪くありません。心を痛める必要はありません。
 公明党大口議員: 立法、再発防止、我々議員がやらなければならない課題はたくさんある。国として、治療方法を開発するということにも努力したい。
 社民党服部議員: 国がなかなか責任を認めない。私は水俣病に取り組んできたが、何十年もかかる。それでもようやくこのような日が来たことを喜びたい。どうもおめでとうございます。
 共産党田村議員: 議員になって初めて要請に来られた方がB型肝炎訴訟の原告さんだった。何ができるのか一生懸命考えてきました。超党派で要請をしたりする経験もすることができました。これからもがんばっていきましょう。
 共産党高橋議員: いろんないいわけを排除して、国の責任から入って、合意ができた。
特別立法を結んでいくこと、協議の場、これからの対策をやっていくことも私たちの宿題としてしっかりやっていきたい。
民主党福田議員: 私も薬害C型肝炎を闘ってきました。新たな不条理を生まないように闘っていかなければならない。この合意が紙切れにならないようにしっかり見張っていかなければならない。ずっと怖い顔をしてこられたと思います。これからは笑顔で暮らして下さい。
民主党城島議員: 団長は、除斥の議員立法が何とかできないかと厳しい顔でおっしゃっていた。今日はすっきりした顔をされている。裁判長の所感を受け止めて、我々ががんばっていかなければならない。

学生支援ORANNGE★SUPPORT村崎さん: 菅首相に、私たちが支援活動で作ったカレンダーの、今日の日に○をつけてもらいました。今日を忘れないように約束してもらいました。私たちは、B型肝炎の患者さん達の治療費助成や生活支援はできません。議員の先生方よろしくお願い致します。
 学生支援ORANNGE★SUPPORT満田さん: 原告さんたちは、3年間、体調が悪いのにずっと走り続けてこられました。私たちは支援活動をしながら、原告さんからパワーももらってきました。今までずっとそばにいさせて下さってどうもありがとうございました。
谷口原告団代表: 皆さんのおかげで今日の日を迎えることができました。私たちは、苦しかったけれども生きていてよかったと思います。全員救済、恒久対策に向かってがんばります。

基本合意1周年チラシ
全国のB型肝炎電話相談窓口
相談票(記入後、そのままFAXして下さい)
記者会見の様子
社民党ヒアリング
公明党ヒアリング
自民党田村議員のあいさつ
民主党三宅議員のあいさつ
共産党田村議員のあいさつ
みんなの党小野議員のあいさつ
旗だしの様子
会見の様子
記者会見の様子
谷口全国原告団代表のあいさつ
高橋北海道原告代表のあいさつ
基本合意書の調印
細川厚生労働大臣の謝罪
調印式全景
菅首相の謝罪
谷口原告代表のあいさつ
菅首相と谷口代表の握手