わたしたちの思い

ご挨拶

                         弁護士 武藤糾明
 
 2004年1月、姪浜駅ビル「姪浜デイトス」の3階に、法律事務所を開設いたしました。
 福岡市内のほとんどの法律事務所は、裁判所の近くにありました。
 病院や床屋さんが住まいの近くにあるように、市民の方が少しでも身近で気軽に相談できるよう、姪浜駅の駅ビルに事務所を開設しました。

 お気軽にご相談下さい。

(法律相談は、事務所に来ていただく形で行っております。弁護士の主戦場は裁判所であり、外部にでていることもありますので、相談をご希望の方は、事前に電話でご予約下さい。法律相談は、30分5000円(+消費税)です。ただし、負債と交通事故、労働事件(労働者側)の法律相談は1回だけ、30分に限り無料です。)

 なお、B型肝炎訴訟の電話相談を希望される方は、専用電話番号である、092-883-3345におかけ下さい。

 ペットの医療過誤訴訟判決が確定(2018.6.29ブログ記事参照)し、原告さんから、手記を寄せていただきましたので、ご紹介致します。

戦いがすんで 今、思うこと
 
娘のように可愛がってきた、わが家の愛犬 ”こっちゃん”が死んで、早いもので4年の月日が流れました。その死因をめぐる医療過誤裁判が、ようやく終わりました。
 思い起こせば、相手方、○○動物病院の代理人弁護士より「内容証明郵便」で、信じられない内容の手紙を受け取ったこと、それがこの争いの始まりでした。
「誤診等はない・・・、何らの責任も発生しない・・・、診療行為は医療水準を満たす適切なものであったと思料致しますので、貴殿らのご要望に応じることはできません。・・・云々」
 これを読みながら、私は怒りのあまり手紙を持つ手が震えました。すぐにその弁護士に電話をして、「当の○○動物病院長××氏本人が誤診だったと認め、賠償金を払うと自分から言われたんですよ」と伝えました。
 ところが、その弁護士は「認めたとか認めないとかは、法律的にはいっさい関係ないんですよ」と、冷たく言い放ち、しかも本人は弁護士の陰にかくれて、直接会う気は無いとのこと。またなぜかわかりませんが、○○動物病院の他のスタッフにもいっさい連絡するなという一文まで加えてありました。これではまるで私たちが、たちの悪いクレーマーか何かでもあるような扱いです。
 このとき私は悟りました。これはもう素人では太刀打ちできない。こちらも法律のプロに頼むしかないと。
 とは言え、今まで平々凡々と生きてきた私たちには弁護士さんの知り合いなんていませんし、よもや裁判というものにかかわることになるとは夢にも思っておりませんでした。
 弁護士さんのところに相談にゆくことでさえ、一般の人々にはまだまだハードルが高く、そこで諦めてしまう方も多いのでしょうが、私は泣き寝入りはしたくはありませんでした。 こっちゃんが死ぬ前3ヶ月間ほど、毎月のようにくり返された不正出血は、やっぱり病気の症状だったのだ。そのたびに通院して「子宮や卵巣の病気ではない」と診断されていたのに、わずか10日前の最後の診察のときでさえ、大丈夫と言われていたのに、救急病院での緊急手術の甲斐もなく死んでしまった。
 これでも誤診ではないというのでしょうか。
 ひと晩中お腹の激痛にうめきながら、私の腕の中で死んでいったこっちゃんのために、真相をはっきりさせたかったのです。
 また、いったんは誤診を認めながらも前言をくつがえしたり、8年間も通院した犬が「死にました」と連絡しているのに、折り返しの電話一本もくれなかった××氏の不誠実な態度も、獣医として人として決して許すことはできない。もしこれが人間の子だったら、黙っていられただろうか。親ならば命をかけてでも、真実を追求したはず。そう考えたときに、私たち夫婦の戦う決意が固まりました。
 そうしてまずは力になってくれる弁護士さんを捜すことから始めました。何のつてもなかった私たちですが、幸運なことに、医療過誤裁判のエキスパートである武藤先生に巡り会うことができました。
 でも医療過誤といってもウチの場合は犬の医療過誤であり、賠償金も人のそれとは比べものにもならないほど少額です。
 先生にお願いしてもよいものか、引き受けてくださるのだろうかと不安でしたが、武藤先生は私たち夫婦のやむにやまれぬ思いを汲み取って、じっくりと相談に応じて下さいました。
 後に先生は「たとえお金にならなくても社会的意義があれば弁護士は動くものです。」と言われました。おだやかそうな外見や静かな物腰からは想像もできないくらい熱いハートを秘めていらっしゃるのだと、頼もしく感じたものです。
 裁判が始まってからは、いつも冷静沈着で相手方弁護士の言い分の矛盾点を見逃さず理路整然と論破して下さる様子に、ほんとうに胸のすく思いでした。
 中でも本人尋問の折に、法廷で被告の獣医師と直接対決したとき、診療に最善をつくさなかった職業人としての怠慢さを鋭く糾弾して下さるお姿を見て、「この弁護士さんにお願いしてほんとうによかった」と、つくづく思いました。
 初めてお名刺をいただいたとき、武藤先生の「糾明」さんというお名前を拝見し、私は思わず「本名ですか?」と尋ねました。
 先生が「ハイ。悪を糾して明らかにする」と言って、ニコッと笑われたことが印象的でした。
 弁護士はまさに先生の天職なのでしょうネ。
 今後のますますのご活躍を心からお祈りしております。

 今回もうひとつ幸運だったのは、この件を専門家の立場から公正な目で見て、検証しアドバイスを下さる別の獣医さんと巡り会えたことでしょう。聞くところによると人間の医療過誤の場合でも、こういう患者側の協力ドクターを見つけるのは大変むつかしいそうです。
 この獣医さんは、入院動物のケアや研究のために、週何日も病院に泊まり込むほど熱心に獣医療に取り組んでいらっしゃる方ですが、多忙なスケジュールの合い間を縫って、明解な意見書を書き、適確なアドバイスも下さいました。
 人間の医療過誤の専門家である武藤先生を獣医の立場から強力にサポートして下さる、まさに最強のコンビでした。
 心優しき動物のお医者さんと、もの静かな熱血弁護士さん。損得勘定ではなく、”正義”のためには骨身を惜しまない、そんな二人のプロフェッショナルに出会えたことは、わが家にとって二重の幸運でした。
 きっと天国のこっちゃんが引き合わせてくれたのだと私は信じています。
 最後になりましたが、今回の判決を社会的意義があるものとして、いち早く報道して下さいました新聞社、テレビ局等マスコミのみなさまにもほんとうに感謝いたしております。

2018年8月
こっちゃんの母